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ふとそこにあるベンチに目をやると、傘もささずに一人の女が座っていた。
「えっ…ちょっ」
思わず駆けだした俺を、田中が引っ張り引き留める。
「何で止めるんだよ」
けれども田中は、掴んだ俺の腕を、離してくれない。
「そっとしといてやれ」
そう言って、泣いているのだろう上下する肩に、震える背中に目をやる。
ベンチに座り続ける彼女を見る田中の眼は、悲しそうに揺らぐ。
「…どういうことだ?」
何でお前がそんな眼をしてんだ?
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