吉本阿月

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…ん? なんか今、夕食後のリビングの、のんびりとした雰囲気に合わない爆弾発言が聞こえた気が…。 俺と顔を見合わせた妹は、とりあえず無言で、飲みかけのお茶が入ったコップをテーブルの上に置く。 「親父。今何て言った?」 俺もとりあえず、無言でテレビの電源を消す。 あー。見てたのにー。と言う母の言葉は、とりあえずスルー。 「だから、引っ越すんだって」 …何で? 「どこにだよ」 まずは、場所確認。 「隣の県かな」 かなって。 何でこの親父は、こんなに平然としてんだ。 「えー。じゃあ私、中学校どこに入学するの?」 少し不満げに妹は、父に聞く。 「隣の県かな」 「えっ。じゃあ俺、高校どうすんの?」 急に人事ではなくなった俺も、慌てて父に聞く。 「隣の県かな」 それしか言えねーのかよ! だめだ。だんだんイライラしてきた。 「…俺、転校すんの?」 「あぁ」 まじか。
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