黒い空間で

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彼は存在を認めてもらえなかった俺たちを唯一、個々として見てくれた人だった。 長い間一緒にいたハーレム野郎でも、見分けられなかった俺たちを見分け、友達になってくれた。 前髪が長く無愛想だから友達なんてできたことがなかった。 彼と友達になって心が暖かくなった。 言うなら彼は俺たちの光だ。 人の良い彼は、ハーレム野郎に引っ付かれていたせいで嫌われていたが、話のわかる人には好かれていた。 要するにハーレム野郎の周りのビッチや、外見しか見ないやつには嫌われていたということ。 あれだハーレム野郎(イケメン)の近くに彼(フツメンよりのイケメン)がいたのに対する嫉妬、妬みだ。 ゼウス「彼には神殺しの狼フェンリルとして転生してもらったよ」 神殺しの狼フェンリルって神話に出てくるあれか……神を丸呑みにしたとかいう。 ハデス「それだな。……そろそろ転生したらどうだァ」 急な話題変更にキョトンとする。 このタイミングで? ゼウス「……そうだね、そろそろ転生しようか。あ、でも力の使い方覚えてからね?」 止めてくれると思ったゼウスパパも、まだ意味の分かってない俺たちを転生させたいみたいだ。 でも、まぁ、力の使い方教えてくれるって言ってるし。てかこっちから頼もうと思ってたんだが。 常識人(っぽい)ゼウスパパが言うなら色々大丈夫だろ。 もうこの人たちを信用しなきゃやってられないしな。 ゼウス「じゃぁーザッと100年くらい修行しようか!」 ……ゼウスパパって常識人だよな? 少し不安になった。
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