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何事にも始まりと終わりがあるという。
俺たちに起こったことの始まりは、いつだったかわからない。
ただ終わりは確実にわかる。
何故か?
それは今目の前で起こっているからだ。
薄暗い倉庫の中
所々にある黒い水溜まり
「……う、そだろ?」
唯一俺たちが親友と思った男の声
彼は呆然とこちらを見ている。
「……え?」
耳障りな”音“が聞こえた。
声を声とも認識したくないほど嫌いな……殺してしまいたいくらい嫌いな男。
動くことができないから睨みつけるだけにする。
「なぁ……」
腕の中から今にも消えてしまいそうな声がした。
「……なんだ」
返事をしながら目を向ける。
自分と同色の蒼い瞳とぶつかった。
「……やっと解放されるな」
彼の胸にはナイフが刺さっている。
「ああ……これからは自由に、ずっと一緒だ」
俺の頭からは血がたれ流れる。
俺の言葉に笑みを浮かべ、息をしなくなった存在を見つめ、朦朧とする意識の中近くにあった黒光りする“モノ”を構える。
「あ、ああぁ……」
構えた先に居たのは女。恐怖の声だろうか?言葉にならない音を出している。
彼女は俺たちが嫌いな男、ハーレム野郎の取り巻きの1人で今起こっているこの状況の原因。
憎くて仕方がない。
まあ、俺も今腕の中にいる双子の弟のように、死ぬからもう関係ないんだが。
チラリと自分とソックリな顔を見てから女を見る。
その表情は弟を見たときとは考えられないほど、周りの者を恐怖に突き落とす表情だったという。
バァンッ
当たれッ!
薄れゆく意識のなか彼が見たのは、外れた弾丸と金色の魔法陣に吸い込まれるハーレム野郎、泣きじゃくりながら巻き込まれる彼らの親友の姿だった。
くそ……や、ろう!
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