1831人が本棚に入れています
本棚に追加
/189ページ
次生まれ変われるなら
((2人一緒に))
弟と思考が重なったところでハッとする。
思考が重なったことなんて普通わからない
それに、俺たちは死んだんじゃないのか?
死んだ、その事に気づいたと同時に体の感覚があることにも気がつく。
「理人起きろ」
理人ーリヒトーそう自分の名前を呼ばれて目を開けると、そこはどこまでも黒い空間だった。
右も左もわからない。ただわかるのは弟である明人ーメイトーの手の感覚だけ。
リヒト「……ここは?」
メイト「わからない。目覚めたらここにいた」
リヒト「そうか」
何もない真っ暗闇の空間に居るのが、自分たち2人だけだったとしても恐怖もなにも感じず、あるのはただの安らぎ。
2人一緒なら大丈夫
それが2人の心境だった。
パンッパンッパン
突如響いた拍手の音
バッと一般人では有り得ない反応で2人は振り返る。
お互いに背を向け半身で構えた状態だ。
「さすがだねぇ」
メイト「誰だ!」
感心したように呟く白い人。
金髪に青い目、白い服のせいか白い人が第一印象だった。
黒い空間では不釣り合いなほどの白い存在に警戒を強める。
「クックッ警戒されてんじゃねぇか。え?ゼウスよぉ」
後ろからポンと肩に置かれた白い人ではない手。凄まじい威圧感に動くことができない。
白い人、ゼウスと呼ばれた人は困ったように笑う。
ゼウス「この子たちの生活を見ると、警戒するのが日常だったんだからしかたないんじゃないかな?」
「それもそうだなァ。なんたって暗殺者だったんだもんなァ」
心底楽しそうに笑う後ろの存在。
冷や汗が流れる。
生前(死んだのかわからないが)裏の世界で最強だと言われた俺らだが、凄まじい威圧感に動けないでいた。
かなわない……。
チラリとお互いを見る。前髪で遮られた瞳と目があった。
((かなわないならせめて理人(明人)だけでも……))
最初のコメントを投稿しよう!