黒い空間で

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次生まれ変われるなら ((2人一緒に)) 弟と思考が重なったところでハッとする。 思考が重なったことなんて普通わからない それに、俺たちは死んだんじゃないのか? 死んだ、その事に気づいたと同時に体の感覚があることにも気がつく。 「理人起きろ」 理人ーリヒトーそう自分の名前を呼ばれて目を開けると、そこはどこまでも黒い空間だった。 右も左もわからない。ただわかるのは弟である明人ーメイトーの手の感覚だけ。 リヒト「……ここは?」 メイト「わからない。目覚めたらここにいた」 リヒト「そうか」 何もない真っ暗闇の空間に居るのが、自分たち2人だけだったとしても恐怖もなにも感じず、あるのはただの安らぎ。 2人一緒なら大丈夫 それが2人の心境だった。 パンッパンッパン 突如響いた拍手の音 バッと一般人では有り得ない反応で2人は振り返る。 お互いに背を向け半身で構えた状態だ。 「さすがだねぇ」 メイト「誰だ!」 感心したように呟く白い人。 金髪に青い目、白い服のせいか白い人が第一印象だった。 黒い空間では不釣り合いなほどの白い存在に警戒を強める。 「クックッ警戒されてんじゃねぇか。え?ゼウスよぉ」 後ろからポンと肩に置かれた白い人ではない手。凄まじい威圧感に動くことができない。 白い人、ゼウスと呼ばれた人は困ったように笑う。 ゼウス「この子たちの生活を見ると、警戒するのが日常だったんだからしかたないんじゃないかな?」 「それもそうだなァ。なんたって暗殺者だったんだもんなァ」 心底楽しそうに笑う後ろの存在。 冷や汗が流れる。 生前(死んだのかわからないが)裏の世界で最強だと言われた俺らだが、凄まじい威圧感に動けないでいた。 かなわない……。 チラリとお互いを見る。前髪で遮られた瞳と目があった。 ((かなわないならせめて理人(明人)だけでも……))
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