彼の足跡

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ーーーーーーーーー ーーーーーー ーーー 暗い暗い闇から無理やりひき吊り上げられたように意識が浮上した。 ここは……? 重たい瞼をこじ開けて周りを見渡すと青い空間に居ることがわかった。 あれ、? 俺黒い空間に居なかったっけ? ぼんやりとする意識の中頭の中に増えている情報に気づく。 上体を起こしてみると大きなクッションの上にいた。 まるで室内犬に与えられるベットだな。 そう思ってそれがあながち間違いじゃないことにも気づく。 起きたときから違和感のある体。 頭を触ってみると二等辺三角形のような形の尖りが2つ。腰あたりにはフサフサとした尻尾が。 ……。 ……寝てる間にフェンリルにされた? いや、疑問でも何でもなくフェンリルにされたことは増えた情報からわかってる。 そしてこの空間の奥にある王座。あれの持ち主が俺の主になるらしいことも。 誰が主になるかなんて知らないが俺が異世界に行くことは決定事項のようだ。 りぃやめぃが居ない世界だし……滅ぼしてやろうか? 会えなくなったのはその世界の神のせいなんだし。 ハデス「クックッ滅ぼしていいぜ……って言いたいとこだが、お前が転生した1週間後にこの部屋の主が2人転生するから……」 ゼウス「滅ぼされると困るんだよね。優真君てきにも困ると思うよ?だって……」 その次に続いた言葉に、俺は異世界に行くことを決意した。 ユウマ「主がくるまでに住みやすい世界にしたい……です。だから力の使い方教えろ……ください」 ゼウス「ふふっ立派なフェンリルになってね!」 目の前に現れたフェンリルの間とかかれた扉をくぐる。 ここを出るのは何年後になるだろうな。 ハデス「ある程度のレベルになったら、異世界の扉が出現するようにしとくから好きなときに行っていいぞ」 ゼウス「必要なことは頭に入ってるし。僕たちは忙しくて優真君が旅立つ時に立ち会えないんだごめんね?」 首をふって頭を下げる。 笑顔で手を振る、彼らに似た2人を背に扉を閉めた。
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