彼の足跡

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ユウマ「りぃ……めぃ……」 会いたかった! 気持ちが溢れて戸惑う青年の頭を抱えたところで気づく。 違う。 りぃじゃない、めぃじゃない。 彼らはあいつのせいで死んだんだ。 会えるわけがない。 ユウマ「……悪い。間違った」 エリ「あ、あぁ?」 頭を離して扉のところにいるギルのところまで戻る。 怪訝な青年を無視する。 ギル「なにがあったか知らんが今日は休め。部屋はこの隣を使うといい」 コクンと頷いて扉を開く。 ユウマ「あ」 わざとらしく声を出して扉から顔だけをだす。 ギル「ん?どうした?」 ユウマ「……17歳で総帝なんてすごいな。それに、元ライト家の長男だろ?魔盲で捨てられたとはいえ匿ってたらいくらダーク家の闇帝でも危ないんじゃないか?」 ギルエリ「「な!?」」 パタン 早口にいいきる。 扉を閉じると同時に部屋全体に結界をはって座り込む。 部屋はけっこうな広さでホコリ一つなかった。 あれで少しは俺から距離をとってくれるだろうか? 無理やり息子にされたことへの腹いせで、精霊に聞いた知られたくないだろう素性を言ってやったが 明日どんな反応をしてくるだろうか? 少し楽しみに思いながら立ち上がる。 すっと手を上げる。 音もなく床から現れた水と闇が形を作り上げ黒い氷になる。 手を下げるとそこには自分そっくりな像が。 闇を操ってそれをベットへ寝かせる。 ユウマ「さぁ……行くか」 俺は犯罪者になるつもりはない。
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