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学園長はギルマスと同類、と頭の中で位置付ける。
そういや、ゆうのやつ迎えに来るって……どうするつもりだ?
『フェンリルは、私が、つれて、くる』
うんうん唸っていると聞こえてきた言葉。顔を向けるとやっぱり精霊。
ずいぶんたどたどしいな、と思いながら精霊を見る。
黒に近い紫の髪に大きな紫の瞳。闇の精霊はみんなこの色彩らしい。
服は黒、ハデスパパを崇拝している証なんだとか……。
『ん、おけ』
他の精霊と念話したのか、呟いて片手を上げる闇の精霊。
ぶわっと闇が蠢いて人の形を作る。
へぇ、闇の精霊の転移ってこんなんなんだ……。
まじまじと闇の精霊特有の転移を見つめる。
精霊には属性によって転移の様子が違うらしい。見たのは闇が初めて。
こんど他の精霊にも見せて貰お。そう決意して闇が散っていき、姿の見えだしたゆうを見る。
ユウマ「ふぅ……サンキューりぃめぃ行くか」
爽やかな笑顔を浮かべるゆうの顔見つめてから歩き出す。
先ほど、学園長が俺たちに優真の飼い主だろ?と言ったとき風が伝えてきた情報。
『フェンリルは学園で一匹狼だと言われてる』
一匹狼は誰も寄せ付けずに1人で行動する孤高の存在。
チラリと隣でニコニコ笑っているゆうを見る。
想像できない。前の世界ではハーレム野郎が居ないときゆうの周りは彼を慕う人で溢れていた。
そんな彼がたかが俺たちの死で、人が変わったようになったのかと少しの罪悪感。
ユウマ「まずは食堂で腹ごしらえだ!」
メイト「……そうだな」
精一杯の笑顔で笑う明人と2人で罪悪感を分け合う。気持ちや思考がシンクロしている俺たちだからできること。
俺たちの側でしか笑えないなら。
俺たちがゆうの安心して笑える場所になってやろう。
彼がこれ以上狂わないように。
前みたいに楽しく誰とでも笑えるように。
復讐を終えたらーーーーー
ゆうの心は自由になれるだろうか?
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