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いつまでも明人の腕を放さない女子にイラつく。
ゆうを見ると茫然と固まっていた。
ひょいと明人の腕を掴む女子の手に飛び乗る。
「な、なによこの鳥!」
慌てる女子にチラリと一瞥をくれて、手目掛けてクチバシを振り下ろす。
「いたっ!」
声を上げた女子は手を放そうとはしない。
ツンツンと何度もつつくが非難の声を浴びせてくるだけ。
「っこの!」
バシッ!
堪忍袋の緒が切れたのだろうか?
明人を掴んでいる手とは別の手で叩き落とされた。
それ、がたぶんきっかけ。
叩き落とされるとは思ってなかったから、そのまま床に落ちる。
別に痛くはなかった。
ふ、と重くなる空気。
ユウマ「……なに、してんだよ」
疑問符もなにもない言葉。誰に向けているのかも分かりづらい。
空気が冷たくなって、ゆうが氷属性を持っていることを思い出す。
ゆうのその言葉をどう解釈したのか、俺を拾い上げる明人にドヤ顔を向ける女子。
ユウマ「っ大丈夫か?」
「優真様!だいじょ……」
メイト「大丈夫」
俺を持ち上げ微笑む明人。
「なっ!」
怒りの表情を浮かべる女子。
俺たちに駆け寄り心配げなゆう。
ざわっと空気が揺れた。
何事かと周りを見渡すと結構な野次馬がたまっていたが、俺は明人に明人は俺に気を取られていたから周りの状況がわからない。
駆け寄ってきたはずのゆうがいないことに気づいてゆうを探すと。
俺たちに背を向け女子の方を向いているゆう。
「ゆ、優真様」
ゆうを見上げ頬を染める女子。
ユウマ「お前さっき、何した?」
凍った空気と同じ、冷たい声だと思った。
頬を染めていた女子はみるみるうちに青くなっていった。
「あ、あいつが悪いんです!あいつと、あいつの使い魔が私にーー」
ユウマ「何をしたか聞いてんだよ!」
バンッ
喚きだした女子にイラついたのか怒鳴り、床を踏みつけたゆう。周りからは小さい悲鳴が上がった。
あの床は誰が直すんだろうか?
ぼーっとひび割れた床を明人と2人見つめる。
いつのまにか女子の首に手をかけているゆうを、止める気はさらさら、ない。
なんか眠い。
茶番に飽きた俺は明人の肩に飛び乗り首もとに体を寄せ寝る体制になる。
メイト「寝るの?」
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