病んでるの、か……?

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無駄に長い長い廊下を、歩いて飽きてきた頃。 エリ「ここだ」 その声にぼんやりとさ迷わせていた思考を現実に戻すと、周りより少し豪華な扉。 学校でありがちな扉ではなく引き戸になっている扉に少し関心。 招き入れられ足を踏み入れると扉に対して質素な内装。 エリ「適当に座っててくれ」 俺たちが部屋に入ったのを確認した青年は、そう言って奥に歩いて行った。 室内はソファーやデスクが置かれていても十分なくらい広い。 座っとけって言われたし……。 座ろうかと思って歩き出すが、後ろからついてくるはずの足音がついてこない。 あれ?と思って振り返ると部屋に入ってすぐのところで俯いて動かないゆう。 ユウマ「りぃが……ボソボソ」 呟く声、どす黒い雰囲気に、もう癒やしの魔法が切れたかと気づく。 切れるの早すぎだろ。 よっぽど理人が叩き落とされたのが衝撃的だったんだな。 はぁ……。 何回目かのため息がもれる。 メイト「ゆう」 呼ぶと向けられる光のない濁った瞳。 生前の光に溢れたゆうの面影がこれっぽっちもないことに少し罪悪感。 近づいて手を引くと何の抵抗もなくついてきた。 まるで何も見えていないみたいだ。 ソファーに半ば無理やり腰を下ろさせその横に座る。 今のゆうを治せるのは理人だけだな。 頼りの綱は未だに肩で寝息をたてている。 疲れてるんだろうな……。 学園にくる前に理人が俺の疲労までも肩代わりするといい、朝気怠かった体は軽すぎるくらい。 シンクロしてるから疲労を移せたけど、理人に辛い思いをさせるのは嫌だな。 そうは思っても俺を思ってしてくれたことだから邪険にも扱えないし……。 結局は理人優先でゆうにはもう少しの間、暗いままで居てもらうことにした。 ま、今何言ってもほとんど聞こえてないだろうからほっとくだけなんだけどな。
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