病んでるの、か……?

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空気が変わって目を開けるとどこかの扉の前。 まあ、職員室なんだけどな。 ユウマ「めぃ、りぃは大丈夫?」 風紀室に居たときからは想像できないほど、弱々しい雰囲気のゆうに聞かれた。 理人はといえば、叩き落とされたとは思えないくらい穏やかな睡眠をしている。 メイト「大丈夫だと思う」 シンクロしてるって言っても完璧に体調が分かるわけじゃないからな。 ユウマ「そか、よかった。……職員室入るか」 どこか納得していなさそうなゆうは、俺を背中に隠して扉に手をかける。 なんで背中に隠されたんだ? 疑問が浮かんだけどゆうが無駄なことをするとは思えないから大人しくしておく。 ガラッ なんの戸惑いもなく扉を開いたゆう……に注がれる視線。 じろじろと必要以上にゆうを見る先生方。 が、それも一瞬。 いつの間にか無表情になって威圧感を放つゆうが、目を向けるとさっと逸らされる。 「おい、あれって問題児の……」 「そうよね、職員室になんの用かしら」 「気味の悪い黒髪……」 「でも顔はそこそこ……」 耳を澄まさずとも聞こえてきた囁き。 屑が……。 まるでゆうを値定めしているような会話にイラつきがつのる。 でも職員室内の雰囲気でゆうの評価がいかに低いかがわかった。 どんなことを仕出かしたのかは分からないけど、危険と言われることをしたんだろう。 精霊やエリたちに聞いたことから考えるとゆうは完全に狂っている。 皆に優しかった彼はもう、いない。 わかっていたけど認めたくなかった事実に悲しみを覚える。 でも……狂ってしまったのなら、仕方ない。 あいにく狂ってるのはゆうだけじゃない。 狂っているのは、俺たちも同じ。 ふふ……。 「おー騒がしいと思って来てみれば、ダークじゃねえかなんのようだぁ?」 思わず狂った笑いが口をついて出そうになったとき、聞こえてきた気怠げな声。 ゆうの背中越しだから姿を確認することはできない。 ユウマ「……転校生を連れてきた」 「そかそか、噂の転校生、な。ついてこーい」 含みのある言い方をして歩き出す気怠げな声に、ゆうが一度俺たちにチラリと目線をよこしてついて行く。
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