狂った彼の……

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理人SIDE リヒト「じゃあまた後で」 明人に別れを告げて通常はできない始めての場所への転移を発動させる。 ちなみに俺も明人もブレスレットと、ゼウスパパにもらった黒に溶けそうな鮮やかな青いフード付きコートを着ている。 浮遊感も何もなく、ただ空気が変わった感覚。 ここは、書斎だろうか? 近づく気配。 おそらく王だろう。 『死の足音を捕まえる計画を立てろって大臣に詰め寄られてる』 光の精霊の囁きを聞いて少しムカつく。  彼が殺し屋になったのは王が認めたからなのに、なにも知らない大臣は彼を捕まえろってか……。 立派な机の近くにある、無駄に高そうな椅子に座ってドアが開くのを待つ。 ガチャ 王「今から謁見の用意がある……」 パチリと目が合う。 王には守護精霊がついているようだ。 大臣は俺に気づいていない様子。 大臣「王!いつまで野放しにするつもりだ!」 喚く大臣。 さぁ、お前はどうする? 王「……後で聞くから仕事に戻れ」 大臣が反論する前に扉を閉じた王。 リヒト「よかったのか?」 王「君は私に用があるんだろう?」 リヒト「よくわかったな」 思わず声が弾む。面白い奴だ。 俺の気持ちを感じたのか守護精霊が微笑む。 王「数日前にも似たようなのが来たからな……」 疲れたように言う王。苦労人臭が漂ってるな……。 リヒト「そのことについて話がある」 雰囲気が緊張したものに変わる。 少し警戒させたようだ。 王「用件は?」 王の声はどことなく堅い。 それはそうか、自分と彼しか知らないはずのことを突然現れた奴が知っているような雰囲気なんだから。 リヒト「そんなに警戒するな。簡単だ、死の足音にしていた暗殺依頼を全て俺に回せ」 悲しそうに笑う守護精霊。何故悲しそうなのかわからない。
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