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「では、勇者の件はどうでしたか?」
「……お主、なぜに勇者のことを知っている?」
エビルプリーストの反応にレヴィアタンは可笑しそうに笑う。
「エビルプリースト翁よ。アーカイムは我が侵略担当の地域です。知らぬはずがないでしょうよ。まぁ、あのような弱国に生まれついた勇者も運が悪い。今すぐに我が海王部隊を率いて、勇者の亡骸を魔王様のもとへお届け差し上げよう」
レヴィアタンは残忍な笑みを浮かべて、笑った。――だが、今度はエビルプリーストの言葉にレヴィアタンが驚く番だった。
「……魔王様が勇者は放っておいて、構わんとのことじゃ」
はっ? とエビルプリーストの言葉の意味が解らないのかポカンとした表情をレヴィアタンが浮かべるも、何かの間違いと思いたいのか再度、確認を取るかのようにエビルプリーストに詰め寄った。
「……魔王様が勇者を放置しろと申した……と言いますか?」
「そうじゃ」
レヴィアタンは困った顔をしながら思いを口にした。
「魔王様の命令なら仕方ありますまい。しかし、我が魔族はどうなるんでしょうか……。こんなチャンスを逃して、あとを考えると恐ろしくて、眠れませんよ」
同じ表情を浮かべてエビルプリーストは「まったくじゃ」と溜め息を吐いた。
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