37人が本棚に入れています
本棚に追加
言葉の後半が徐々に小さくなっていく。それもそのはず、ダークフェアリーの言葉に、魔神レヴィアタンは怒りを灯し視線だけで相手を刺殺するほどの威圧を放っている。
下級魔族であるダークフェアリーに取っては、息をするのでさえ苦痛を感じるほどだ。
「なんだ! 貴様は!? 使い魔風情が、我ら上級魔族にこの“七魔人レヴィアタン”である私に意見しようと言うのか!」
激昂するレヴィアタンの怒声にひっ! と怯えるダークフェアリーを庇うようエビルプリーストは2人の間に入った。
「まぁまぁ、レヴィアタン殿。落ち着いて下され、ワシの使い魔の非礼には心から詫びまする。そして、出来れば可能な限り殺戮をせずに勇者を攫って来てもらえぬか? どうか、この通りじゃ」
そう言ってエビルプリーストは、頭を下げた。
その姿を見て少しは溜飲が下がったのか、声色を落ち着けたレヴィアタン。
「フン、エビルプリースト翁がそうおっしゃるなら仕方ありますまい。ただし、貸しが1つですぞ?」
「うむ、ありがとう……レヴィアタン殿」
これ以上は時間の無駄と思ってか、レヴィアタンは与えられた任務の遂行に向かった。
一息吐くと、今度はエビルプリーストが己が使い魔へと視線を移す。
「ダークフェアリーよ。なぜにアーカイムへの侵攻の中止を提言したのじゃ。返答次第では……ワシはお主を『処分』しなくてはならん」
主であるエビルプリーストの『処分』という言葉に、ビクッと震えながらも、ダークフェアリーは切々と、縷々と、思いの丈を訴える。
「何ていうか、魔王様。イタズラっ子のような顔をしていたから、余計なことはしない方がいいんじゃないかなぁって思っただけですぅ。私だったらほんの軽い気持ちのイタズラを本気で対応されたり、邪魔されたら気分が悪くなっちゃいますから」
……呆れた理由であった。だが、分からんわけでもないとエビルプリーストは思う。
最初のコメントを投稿しよう!