勇者、誕生

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 「……使い魔の育成は完全に失敗しておるのぅ…トホホ」  「あ! ご主人様。元気だして? 私がいるじゃない?」  「お主がおるから、へこむんじゃ……」  「……………………」  使い魔に玩(もてあそ)ばれているエビルプリーストを魔王はなにも言わずに玉座に座って見ている。  「余、空気だなぁー。余はここにいるぞ? 何処にも行かず、玉座で待っておるぞ♪」  魔王は誰にも聴こえない声で呟いた。  「とにかく、なぜお主がここにいるんじゃ?」  ダークフェアリーはえっへんと胸(小さい)を張って得意げに答えた。  「ご主人様をサポートするために決まっているじゃないですかぁ。そして、ご主人様は次にこう言う。“誰が魔王の間に入ってよいと言ったんじゃ”と」  「誰が魔王の間に入ってよいと言ったんじゃ? ………ハッ!?」  ダークフェアリーがニヤリと笑う。  「魔王様から許可は頂いておりま~す。本来、この魔王の間には私のような下級魔族は入れませんが、御主人様をサポートの為であれば、この魔王の間を自由に行き来して良いってね。次にご主人様は“さっきの丸太はお主の仕業か?”と言う」  「魔王様の許可があるのなら問うまい。では次の質問じゃ、さっきの丸太はお主の仕業か? ……ハッ!?」  ダークフェアリーがニヤリと笑う。  「イエス、オフコース。はい、この私めのトラップ製造アイテム『罠の首輪(初回限定版)』によるもので~す。百聞は一見にしかずと言いますし、実際にやって体験させますね♪」  嫌な予感がしたエビルプリーストはダークフェアリーを止めようが――。  「おい、やめんか!? あ痛!?!?」  足に痛みが走る。視線を足元にやると小さい虎ばさみがエビルプリーストの足を挟んでいた。  さっきまでは存在しなかったモノがそこに在ることにエビルプリーストは戦慄した。
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