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数年前、友人と約束をした。
再びこの一族の地で会おうと。
*************。゚
彼―ジェロムは、一族の町の喫茶店で椅子に座りながら、頬杖をついて真っ青な空を見上げていた。
頼んでいたハチミツレモンジュースのストローに口をつけている。
氷がカラン…と音をたててバランスを崩した。
まったく夏は嫌いだ。
白い肌がたちまち焼け焦げたパンの様な色になる。
ジェロムは日に当たっていた腕を涼しい影に引っ込みやる。
隣の席では他の一族数人が談笑していた。
誰かが池に落ちただの、虫を食ってしまっただの…‥
ジェロムは周囲をキョロキョロと見回す。
遅いな、あいつら。
今日だったよな?忘れてるとか?ってか、場所違ったりして…‥
なんて思いを巡らしていると。
「…あ、来た…‥」
道の真ん中を堂々と。
呟いて、なんとなくどこに行くかを見ていたが、気付かない様子だったので手を振る。
あいつ、俺より身長高くなってないか?
俺に気付いたが、ニコリともせず歩いてきて乱暴に椅子に座った。
「よう、久し振り」
「せやな、久々に会うたな」
当たり前だろ、と思いつつも久し振りの再会を素直に喜んだ。
「なんや、ニヤニヤしおって」
「いや?…ん―嬉しいかなって」
ヘラっと笑ってみせるが、やはりこいつは不機嫌そうに、ふんと鼻を鳴らすだけだった。
何かあったのか?
そのまま口にする。
「お前、何かあったのか?」
表情が少しだけ変わったような気がした。
目の前の奴が俺をじっと見つめてきたあと。
「暑いんや」
ああ、なるほど。
目の前の奴―咲月サツキが、服をつかみ上げて顔を拭いた。
「…そんなところで拭くなよ」
「じゃあどこで拭けばいいんや。
ハンカチとかタオルとか持ち歩くほどワイは器用じゃあらへんわ」
咲月が椅子から立ち上がって、椅子ごと俺の横に立った後、俺は追い払われて隣に座られた。
さらに暑苦しくなる。
「あ―…ちょうどええ」
端から見たらかなり仲が良さそうに見えるだろう。
機嫌が直ったのか、持っていた扇子で俺を扇いできた。
扇子持ってるなら自分扇げよ、と思うのだが。
「いい、いいって。俺暑くないから」
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