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ハイエナが片目を瞑ってウインクしてきた。
こいつ、恥ずかしくないのか?
咲月が冷たい目線でハイエナを見たあと、俺に視線を移す。
俺は知らないよ?
肩をすくめてみせると、咲月も同じように。
リックス…お前、自分のこと女子だと思ってるのか…?
再び目をやると、今度はキスしたふりをしてきやがった。
さすがにキツいな…
これ、冗談だよな
本気じゃないよな
咲月に目線で訴えるが、自分は関係ないとでも言うように目を瞑ってさらに扇子で扇ぐ。
「冗談止めろって」
冗談であってくれ
お願いだ
「はははっ!もちろん冗談だって。本気にすんなよ」
本気にはしてないけど。
扇子でずっと扇いでいた咲月がそれをたたんで新しい話題を投げ込んだ。
「コブラは?あいつは来ィへんのか?」
「え?知らないけど…」
「お二人さん知らねぇのか、王国の街ではある組織が結成されたらしいんだ」
「それがなんやねん。あいつとは関係あらへんだろ」
リックスが口元に笑みを浮かべて言った。
「それがな、関係あるんだよ」
その組織って奴に殺された、又は捕まったとか言うんだろ
リックスが周りに聞こえないように身を乗り出して囁いた。
「あいつ、コブラはな。その組織の一員らしい。
そしてな、その組織作ったのがコブラって話なんだ。
僕も実際見たよ。
リーダーはあいつだった」
咲月を見ると俺と同じように訳が分からない、という顔をしていた。
「なんやそれ」
「僕に聞かれても知らねぇよ。王国で何かしでかしたらしいから、あっちじゃ有名になってる」
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