罪と罰と哀

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何事にも名前があるように、私の犯した罪にも名前をください。 私へくだす罰の名前をください。 私が犯した罪は業深く。 その罪の重さ以上の罰を私に与えて。 あなたを愛しながらも、別の誰かに心、奪われ。 それでも、あなたは笑って許してくれる。 なぜですか? 私の罪の名前はきっと、不義密通。 私の罰はきっと、罰されないこと? 哀しい、と泣かないあなた。 口惜しい、と泣く私。 罪在りて。罰せずに。 許しじゃなくて、きっと、きっと。 あなたが愛したのは私じゃない。私の向こうにいるだれか。 その誰かは知らないけれど。 私の知らない誰かでしょう。 あいしてる。 きにしてないよ。 きみはわるくない。 あなたは、私をとことん甘やかし。 生温いお湯に浸らせる。 それは、私へ罪の名前や罰の名前を与えない理由とおなじ。 私への罪悪感。 ずるいわね。 ねぇ、あなた。 私もあなたに罰を課しましょう。それはね。 あなた。 哀しなさい。私を、永遠に。 そしたら、私はなたを許します
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