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あなたが死んで、私の心の傷は癒えました。
あなたが残してくれたこの子はすくすくと育ち、益々、あなたに似てきました。
顔立ちはとても素敵です。
瞳の力強さは、あなたに劣らずりりしくなっていきます。
まるで、そう、生き写しのように。
その顔を見るたびに回復したはずの私の心はズタズタにまた、傷つけられます。
どうしてでしょうか?
私の息子なのに。
どうしてでしょうか?
愛するあなたと似ているというのに。
もう、答えは出ているのでしょう。
もう、とうに私は気付いているのでしょう。
私はあなたを愛しながらも、憎んでいたのです。
手をのばせば救ってくれるあなたが愛しくて、私の鎖骨に接吻の痕をつけられたのが嬉しくて。
でも、その分、あなたを憎んでいたのです。
愛しすぎて、私はあなたを。
誰よりも何よりも憎んでいました。
ああ、あの子が帰ってきたようです。
あなたに似たあの声で私を呼んでいます。
私はいつまで我慢できるでしょうか?
私の心はあとどれくらい、保つのでしょうか?
それが心配でなりません。
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