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哀してます。 わたしは、あなたを。 どこまでも孤独を愛し。 どこまでも孤高なあなたを。 独りきり、傷を抱え、あなたは、また、旅に出て。 浮らり、出ていったまま、中々、帰ってこないあなたを。 幾度も手紙をもらい。 幾度も電話をくれた。 それでも、淋しくて。 何度、あなたに詰め寄ったでしょう。 切なさに心焦がして、わたしを待たせるあなたを何度、責め立てたでしょう。 そのたびにあなたはとても悲しそうな顔をして。 私に謝り続けましたね。 そんなあなたを見るたびに。 私の心は哀色に。 染まっていきました。 だから、そう。 あなたを哀します。 私の心を哀一色に染めたあなたを。 深く、深く、哀します。 愛とは違うのです。 哀、なのです。
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