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次の日にはまた別の女と二人で帰宅しているのを窓から目撃した。しかも他のクラスの女。
節操がないのにも程がある。
先輩の彼女にまで手を出して呼び出されりゃ世話ないよね。
その都度顔に傷作って女達が伊織を囲うのだから悪循環。
なん又同然の男だけど女達からの評価はうなぎ登りな一方で、人の彼女関係なく手を出すため当然一部の男子からは嫌われてる。
苛められてるわけじゃないが男友達よりも女友達の方が圧倒的に多い。
――そんなんだから、伊織がいいんだ。
私は秘かに伊織という人間を胸におさめておくつもりでいたけれど転機が訪れた。
ある日のこと、伊織が宿題忘れたーと机に項垂れて嘆く。
瞬間、伊織の周りの女達が目を鋭くさせたとは露知らずの私は個人的には一度も話したことない伊織にノートを差し出した。
特に意味はない。偶然机に出していたから条件反射でついだ。
ふにゃぁっと愛嬌たっぷりに「ありがとぉ」とお礼を言う伊織に取り巻き達は何も言えないようだけど、おもっきし睨まれた。
余談だが私はそいつらのことを『吉永ハーレム隊』と影で呼んでいる。
その後何故か返ってきたノートに伊織のメールアドレスが男にしては綺麗な字で綴られていた。
メールしろということなのかな。
まあ別にメールぐらいならというのが間違いだった。
相当打ち慣れているのかメールの返信が速い速い。そうs受信みたいな。リア充め。
しかもマメだ。
こういうとこが女達の好感を上げているんだろうなきっと。
昴なんて一週間後に返信がくることもあるんだぞ。だったら学校で会った時に話せ! と私は思うわけなのよね。
何度か伊織とメールのやり取りをしているうちに学校でもしばしば話すようになった。
思いの他私と伊織は意気投合し、気付いたらもう何年も前から一緒にいるような感覚にまでなっていた。
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