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昼休み私は神澤達に絡まれる前に教室を後にした。
階段を上がって上がって学校の頂上まで上るのは恒例となってきている。
扉を開いた瞬間眩い光が私を包んだ。
真っ白な発光体が昼間に浮かぶ月のようだった。
柵に手をついてぐんっと伸びをする。
生まれ変わったら植物になりたいと割りと本気で思った。
「ま~ゆ~り~」
間延びさせたその声に私は振り返る。
屋上で会うのはこれで二度目だ。
「み~つけたっ」
ダンッとステップを踏んで私の前に着地する佳乃は上目遣いで顔を覗き込んできた。
くりくりの瞳をすっと眇めてにっこり笑う。
女の私から見ても可愛いと思う。
「まゆりっていつもこの時間はここにいるの?」
「うん」
「私もたまにくるんだけどあんま会わないもんだね。って、まゆりは授業サボるような子じゃないか」
本来なら私と一緒にいるべきではない佳乃が私の前に立つ理由は一つしかない。
神澤達から助けたのだって、善意からくるものではない。
地獄から解放してくれるなら例え偽善でも構わないと思ってる。
だけど、そうじゃない。
さすが篠原の幼馴染みと言うべきか、偽善よりも質が悪い。
佳乃は私を
見張っている。
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