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――――――???視点
僕の彼女は世界で一番可愛い。
ある程度のフィルターを外してもこの事実には支障を来さない。
幅の広い平行二重に24時間吸い付いていたくなるような唇。
ぽてっとした幼い顔つきがまた情欲を誘うのだ。
なんだよあの生き物。
反則だろうが。
願わくばこの腕に抱いて閉じ込めておきたい。
それは一生無理な話だけど。
だからとうに諦めた。
代わりに僕は彼女の害となるものを徹底的に排除することにした。
この世に生まれてきたことを後悔するぐらい痛め付けて、死よりも辛い現実を与えてやるんだ。
ククッ、そうやってみっともなく涙と鼻水で顔をぐちゃぐちゃにさせた者を幾度となく見てきた。
気持ち悪いったらありゃしれない。
さすがに殴る気失せたなぁ。
だって、僕の手が汚れてしまうからね。
それは彼女にも申し訳なくなる。
現時点で僕が邪魔だと感じてる男が二人いる。
一人は幼馴染みの篠原昴。
もう一人は吉永伊織という男。
彼女の優しさにつけこんで手込めにしようと目論んでるあの害虫どもが……!
僕は目の前の彼女に問いた。
「ねぇ? 君の一番は誰のもの?」
「そんなことも聞かないと分からないの?」
唇を尖らせて少し怒ったように言う。
そんな表情すら愛しく思う。
「ごめんね。僕が悪かったよ」
「ううん。嫉妬に濡れる貴方の顔も大好きだから」
「愛してるよ――――……佳乃」
合わさった唇から伝わる感触はひんやり冷たかった。
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