2739人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「ここにはいませんよ」
憮然とした弘文の声。
夜遅く突然訪ねた私たちも悪いが、あまりに冷淡な口調だった。
「あの、私たち今日、会う約束してたんです。だけど純だけ来なくて……。こんなの初めてだから、心配になって来てみたんです」
私が必死に伝えると、弘文の表情はさらに険しくなる。
「だから、ここにはいません。いきなり来るなんて、少し非常識じゃないですか?」
「でも、」
今度は美弥が何か反論しようとしたが、すぐに弘文が遮った。
「離婚したんですから。純はここに住んでないし、せめて来る前に電話ぐらいするべきでしょう?」
最初のコメントを投稿しよう!