1章

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 人気のない夜道、わたしは走っていた。足は重くどんどん動けなくなるのがわかる もう走っていた理由ですら朦朧(モウロウ)としてくる。何かから逃げていた気もする。 しかし意識はハッキリしない、考えるのも思い出すことすら苦痛になってくるほどだ。 「あっ……」 石につまずいてよろけるが受け身を取ろうにも体が言うこと聞いてくれない  ズサァッ 盛大に転ぶが、痛みどころか意識は今にも途切れそうなほどになる。 「小屋……?」 転んだところの目の前に古そうだが建物が見える。 小屋というより小さめな家というべきか、花壇や駐車場のような人の生活している痕跡がある。 こんなところになぜ人が住んでいるのだろうか、なんにせよ人と鉢合わせるのはとてもマズい。 理由こそ思い出せないが、わざわざ人気のないここに逃げてきた意味がない。 しかし、そんな考えとは裏腹に体と意識はついに限界まで来てしまったようで、その場で気を失ってしまった。
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