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楓には奥さんがいた。
楓よりも3つ年下で、名前は美羽(みう)。
その名の通り、真っ白な羽根のようにふわりとして、美しい女性だ。
彼女は、二年間眠り続けている。
美しいまま、眠り続ける。
あの日以来、楓とよく話すようになった。
彼は、夜遅くまで一人でふらふら出歩いている私を心配していたんだと思う。
部活が終わるのを見計らって、さりげなく私に雑用を頼む様になった。
1、2時間程の雑用が終わると大抵21時くらいで、その後、楓に送ってもらうのが恒例だ。
色んな話をした。一方的に私がしゃべっていただけかもしれないけど。
楽しかった。何もかもが。
下らないことの一つ一つが愛しく思えるほどに、楽しかった。
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