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私は、楓の手を振り払うように首を振った。
「私は。…子供扱いされたいわけじゃなくて。
慰められたい、…わけでも、ない。
私が…先生を。
…暖めたいのよ。」
涙で上手く話せない。バカみたい。子供扱いされて当たり前だ。
楓は私の頭から手を下ろして、私の手の上に重ねた。窓の外を向いていた楓の視線は、いつの間にか私に向けられていた。楓は、いつものように微笑むわけじゃなく、私を見ていた。彼は酷く無防備で 、今にも泣き出しそうに見えた。
彼の手が私の触れるように伸ばされ、寸前で止まる。彼の目は戸惑ったように揺れていた。
「…ごめん。
少しだけ……甘えていい?」
楓はそう言うと、彼の着ていた薄手のジャケットを脱いで私の頭の上から被せ、その上から私を抱き締めた。
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