21人が本棚に入れています
本棚に追加
一人きりの部屋では思い出に囚われてしまう。でも、一人で街を出歩かないって楓と約束したから。
放課後、学校が終わると私は家の近くにあるこの公園に向かう様になった。家からここまでは比較的車の通りも多いし、近くには交番もある。
約束、破ったことにならないよね?
一人きりの部屋は思い出にむせかえりそうになるけど、ここは視界が開けてて楽に呼吸ができるような気がするんだ。
もう二ヶ月、この場所に通ってる。
はじめの頃はちらほら人もいたけど、10月も終わろうとしている今、この場所に来るのは私一人だ。
吹き付ける海風に体を震わせながら、自動販売機で買ったミルクティーをゆっくりとすする。
いつまでここに来れるだろう?
これ以上寒くなったらここに何時間もいるのは難しくなる。
携帯をポケットから出して時間を確かめる。
10月29日、20:30。友人の誕生日だったな。て、思った。今日中にメールくらいはしなければ…。
あと30分だけ。そう思い、携帯をベンチの上に置く。
その時、背後で車のとまる音がした。私以外の人がこの時間ここに来るのは、本当に珍しい。
最初のコメントを投稿しよう!