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私の家には、明かりが灯らない。
それは、小さい頃から当たり前の事で、殊更寂しいと感じていた訳ではない。
そう、思ってた。
だから、びっくりしたんだ。
ずっとずっと、寂しくて堪らなかったんだって事に初めて気づかされた時、自分の本当の気持ちに、戸惑って、もて余して、混乱した。
あの日、あの時、あの瞬間から始まったんだ。
私、込山咲良(こみやま・さくら)の恋のお話し。
あの日私は、所属する美術部でいつものように友達と下らない会話で盛り上がって、友達と別れたあとは、いつもと同じように、夜の街をふらふら歩いていた…。
私の両親は、二人で小さな飲食店を経営していて、いつも帰ってくるのが真夜中で…。だから私は、部活のあと、21時くらいまでいつも街をうろうろしていた。
別に、両親に不満があるわけでもないし、反抗しているわけでもない。でも、一人きりの家よりは、人混みの中にいる方が少しだけマシな気がしてたんだ。
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