21人が本棚に入れています
本棚に追加
私は、観念したように肩をすくめ、本の続きをめくった。
ほんの少しだけ、ドキドキしていた。楓にしてみれば、ただ生徒を補導しただけなんだろうけど。
同じ本を好きと言われたからかもしれないな。そう、思った。
そして、少しだけ意外に思った。楓が好きだと言ったこの作家は、本当に静かで淡々としていて、地味な印象で。でも、心の琴線に触れるんだ。わたしの、酷く孤独な部分に触れる。そんな話だ。
楓が私と孤独は結びつかないと感じたように、私には楓と孤独が結びつかない様に思えた。
でもね、楓も私と同じように孤独を抱えているのだとしたら。そう考えたら、少しだけ悲しくなった。
楓に悲しい顔は似合わない。
似合うなんて、思いたくないのかな…。
最初のコメントを投稿しよう!