プロローグ

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 傍聴席に人が溢れる裁判所。  台の前に立った被告人に、裁判官は判決を言い渡す。 「被告、藤間要を”死刑”と処す」 その途端、傍聴席からはざわめきと、歓喜の声が沸き上がる。  終止俯いていた藤間要-とうまかなめ-は、裁判官の言葉に、ゆっくりと視線を上げると、口元を緩ませた。 声には出さず、口だけ動かすと裁判官へと長く伸びた前髪の隙間から視線を向ける。 ”アリガトウ” 「?!」 その異様な要の様子に、裁判官は顔を引きつらせると、嫌悪感をあらわにした。 「閉廷しますっ」
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