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バスルームから上がった大地は、腰にタオルを巻くと浩巳がいる部屋へと戻って来る。
部屋の中に立ちこめるいい匂いに、顔をほころばせるとキッチンで朝食を作っている浩巳の背後に立った。
「おっ? いい匂いっ」
肩越しに手元を覗き込む大地の気配を感じ、浩巳は身体を硬直させると振り返らずに声をかけた。
「……食べる?」
「いいのっ? やったねっ」
嬉しそうな声を上げる大地に、思わず振り返ると目に飛び込んできた光景に驚いて声を上げた。
「?! なんて格好してんだよっ?」
「えっ?」
「早く服着ろよっ」
突然、声を荒げた浩巳に、大地は顔を引きつらせるとバスルームへ戻って行く。
「あぁ……そんな怒んなくても……」
「…………」
覚えていないとはいえ、無神経な大地の振る舞いに浩巳は呆れて深い溜息を吐いた。
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