序章

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   不死城の地下。  そこには、天守閣から大妖の妖気が降り注ぎ、九十九神や小妖を作り出す空間。  九十九神とは、人間界において百年の時を経た道具に命が宿り。九十九という妖怪となった存在。  その九十九神を、大妖の妖気により意図的に産み出している。  元々、妖界における九十九神は、その誕生に百年の歳月を必要としないようだが。  それは、小妖も同じ。  だが、不死城の地下では妖界の理ですら、無視したように次々と妖が産み出される。  特定の妖により、産み出されるなど通常はあり得ないのだ。  大妖の妖気は、それを可能にしていた。 「だが、そこに行ったとて我がどうなると言うのだ」  それでも、カラス天狗は地下へと下る。  大いなる失態を演じたのだから、大妖の命令を素直に聞くしか無いのだ。これが、消滅に向かう道だとしても。  つづら折りの階段は、どこまでも下っており徐々に気温が下がっている。 「まだか……」  大妖の側近であるカラス天狗であったが、この地下に来るのは久々であった。
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