第一章 宣戦布告

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            壱    立頭大学付属高校の図書室。  折原 洋輔の身は、今日もここにある。  細身の長身で、普通にしていたら目立ちそうな存在。だがこの学校内で、彼が目立つ事はこれまで無かった。  成績優秀、運動神経も悪く無い。  それでも彼を知るものは少なく、下手をすれば同じ学年でも、名前すら知らない生徒もいるだろう。  だが、逆に彼は有名人であった。  一部の女子生徒の間で。  エスカレーター式であり、地域でも有数の進学校でもある立頭大付属高校。だが、成績の悪い生徒はいるもの。そんな彼女たちの間では、折原 洋輔の元に行けば何とかなるとされている。  あくまでも、女子の間でだ。  基本的に洋輔は人と関わる事を好まず、眠る事を最上の喜びとしている。  取り分け、男子には容赦が無い。  よって、女子のみが図書室にいる彼の元を訪れる。  だが最近、それにも変化が生じ始めていた。  落ちこぼれ女子から噂が流れ、「図書室のイケメン」という称号が与えられていた。  お陰で、来客が増えた。
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