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ホテルを一直線に目指していた時はそれほど気にならなかったが、気分を観光モードに移行した途端に、視野が広くなり、現実が見えてきたのだろう。
とはいえ、普段見かけないものばかりがその土地にはあった。
首都ポルトープランスは観光地ということもあり、土産屋の露天商が道に並んでいる。
シルバーアクセサリーらしき指輪やネックレス、厚手の絨毯や壁掛けが売りに出されていた。
市場に着くと、食物が多かった。
中南米に多いヤムイモやトウモロコシが台の上に積まれていた。
道行く人が台にぶつかったのか、トウモロコシが2~3本地面に転がっていた。
市場の通りを少し歩くと、しっかりとした店舗が並んでいた。
「ハイチ料理か・・・」
フランクはハイスクールでしか使ったことのないフランス語の知識を駆使し、看板の文字を読んだ。
「ハイチ料理? おいしいのかしら?」
エリザベスは少し興味がありそうなので、フランクはこの店で軽めのディナーをとることにした。
ドアのブザーを鳴らすと、中から従業員が出てきて、迎え入れてくれた。
「あら、アメリカの方かしら? ハイチへようこそ。さぁ、暑いでしょう、入って入って」
30~40歳くらいの女性がウェイトレスをしていた。
ウェイトレスにふさわしく、メイドドレスを着用しているが、そのメイドドレスは半そで仕様だった。
暑い国ではその地域なりの工夫がされているのだなぁと、フランクは感心した。
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