【シーン3】

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 ホテルを一直線に目指していた時はそれほど気にならなかったが、気分を観光モードに移行した途端に、視野が広くなり、現実が見えてきたのだろう。  とはいえ、普段見かけないものばかりがその土地にはあった。  首都ポルトープランスは観光地ということもあり、土産屋の露天商が道に並んでいる。  シルバーアクセサリーらしき指輪やネックレス、厚手の絨毯や壁掛けが売りに出されていた。  市場に着くと、食物が多かった。  中南米に多いヤムイモやトウモロコシが台の上に積まれていた。  道行く人が台にぶつかったのか、トウモロコシが2~3本地面に転がっていた。  市場の通りを少し歩くと、しっかりとした店舗が並んでいた。  「ハイチ料理か・・・」  フランクはハイスクールでしか使ったことのないフランス語の知識を駆使し、看板の文字を読んだ。  「ハイチ料理? おいしいのかしら?」  エリザベスは少し興味がありそうなので、フランクはこの店で軽めのディナーをとることにした。  ドアのブザーを鳴らすと、中から従業員が出てきて、迎え入れてくれた。  「あら、アメリカの方かしら? ハイチへようこそ。さぁ、暑いでしょう、入って入って」  30~40歳くらいの女性がウェイトレスをしていた。  ウェイトレスにふさわしく、メイドドレスを着用しているが、そのメイドドレスは半そで仕様だった。  暑い国ではその地域なりの工夫がされているのだなぁと、フランクは感心した。
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