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「あの、さ」
「なんだよ、改まってさ」
「空って、青いだろ」
「あぁ、大気やオゾン層は地球に届く太陽光を遮断しているんだ。んで、光は七色……まぁ赤外線紫外線云々は置いといて分光、いやスペクトルと言うんだが、分かるか?」
「じぇんじぇん分からん」
「とにかく、空が青いのはそれらが青い光だけを反射しにくいからなんだよ。入射角の問題で朝には紫、夕方には朱になったりいろいろだが」
「お前さ、もっと情緒とかはないのか?」
「無いね。考えを妨げる要因の一つだ」
「それはいけない。理論だけの人間は選定することをしない。食欲を満たすためだけに不味い飯を食い、睡眠欲を満たすためだけに所構わず惰眠を貪り、性欲を満たすためだけに女を選ばない」
「人種差別を情緒と言われてもなぁ」
「いいんだよ。一々つっかかんな! 言葉の綾ってやつだ。不細工な俺が言っても戯れ言と相手にされねーよ」
「君はもう少し理想を低く掲げるべきだと思うがね」
「やかましい! とにかく、無味無臭な毎日を生きていて楽しいのか? 情緒がなければ、楽しい人生楽しくないぞ」
「人の人生をとやかく言うな。勝手に無味無臭と決めつけるにしては心許ない情報量だな。時期尚早過ぎる……」
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