ねずみ

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ねずみと出会ったのは、しとしとと雨の降る夕方のことだった。 その日の私は、ひどく落ち込んでいて、一人きりで家を飛び出してしまった。 泣きながら、歩き続けて… 当時の私にはとてつもない大冒険のように感じていた。 降り止まない雨を避けるように、河原の橋げたに逃げ込んだ。 ニャ… 何気なく辺りを見回した。 声の主を探して、草っぱらの中を入っていく、 ニャーニャー… 先ほどよりも声は大きくなり、近づいているのが、分かる。 「可哀想に…お前も捨てられたの…?」 私は、ダンボール箱から、そっと子猫を取り出し、抱きかかえた。 ダンボール箱に押し込められ、こんなところに捨てられていた 子猫が、まるで自分のことのように思えた。 子猫を抱きかかえて、座り込み どのくらいの時間がたっただろう。 私は、もう帰る家を無くしてしまった悲しみを、子猫のぬくもりで埋めようとしていた。 「…あら?あらっ?? 三咲ちゃんじゃないの!? どうしたの、こんなところで…」 それは、隣の家に住むおばあちゃんだった。 おばあちゃんは、私の顔を見て 察しがついたかのように… 「おばあちゃんのうちに来るかい?」 手を差し伸べてくれた。 私はこの優しくて、可愛らしいおばあちゃんが大好きだった。
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