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それはもう何十年。
開かれずにいた机の引き出し。
いつも向かい合っている机だというのに…。
ある日、私はその引き出しを開けた。
何故そうしようとしたのかは正直わからない。
そこには、私にとってあまり思い出したくないモノがあることを、忘れたわけではなかったのに。
乱雑に散らばった過去。
写真。
落書き。
手紙。
その中で、私は一番見たくなかったものを見付けてしまった。
それは、私が中学生だった時の卒業文集。
当事、私はいじめを受けていた。
思い出せるものは嫌なことしかない。
何故こんなものを今も残しているのだろうか。
(棄ててしまうか。)
そう思い、これが最後だからとパラパラとページを捲っていった。
すると、自分のページに辿り着いた。
やはり、苦しかったのだろう。
そこに書かれていたのはいじめの事実と、それに対する感情だった。
「言い返す勇気がない訳じゃない。でも、仕返しをしても意味がないからしない。」
素直な言葉だった。
大切にしたいことだった。
だが大人になって、背負うものも多くなり、そんな気持ちも持ちづらくなっていた。
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