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幻を見ているのだろうかと、思ったほどだった。
会いたいと思っていた相手が、目の前にいて自分に手を差しのべてくれていたから。
私に手を差しのべてくれていたのはカンナ。
和風の傘をさし、いつもの優しい笑顔が見える。
「銀河の妖精が、こんな所で泥んこ遊びか?」
病院を勝手に抜け出したことを怒るわけでもなく、心配して探してくれたのだろうけど、そのことを責めるわけでもなく。
いつもの調子のカンナに、私も会いたかったなんて言えなくて。
カンナの手を取らずに勢いよく立ち上がると、私はカンナの胸に飛び込んだ。
「…ばか」
私を抱き止める腕が優しくて、愛しさが溢れてしまって、こぼれ落ちる涙が止まらなかった。
END
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