不夜の街

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「チョコ、説明頼む」 「ハイハイ、妖怪大百科じゃそんなトコでしょうね」 「チョコ先生妖か…幻獣に詳しいの?見えないけどな」 「生前お爺ちゃんが民族学の教授やってたのよ、小さい時はよく聞かされたからね」 少し離れたカウンターにいる俺、ラウンジの真ん中に居るチョコ先生の声はハッキリと聞こえる 声を張ったりしてる感じでもないけど、声が通るんだな、さすが先生 「そうねぇ……のっぺら坊の分布図は広域ね、日本中にのっぺら坊の話は転がってるわ、何でかわかる?」 「超メジャーだからでしょ?」 「その理論だと最もメジャーな幻獣は狐、狸、鼬、いわゆる人を化かす獣の幻獣になるわね、それこそ日本中にいる……当たらずとも遠からず、日本中に残る民話、伝承を遡り突き詰めると元々のっぺら坊は存在してなかったのよ……超メジャーなのに」 「え?凄い有名人なのに?」 「そ、要は人を化かす動物が人を驚かす為にしていたアクションの1つ……それがのっぺら坊の始まり」 困ったような顔でチョコ先生を見上げる八重ちゃん、そう言われると確かにどことなく…… 「タヌキ?」 「ち、違うもん……」 「タヌキの尻尾似合いそう」 「……けど次第に伝承にも変化が訪れるわけ……狢(ムジナ)ってまぁ実際いる動物だけどタヌキみたいなモンね……そのムジナと共同して人を驚かす妖か…幻獣のっぺら坊が話に表れる……役割の分離、ストーリー性が表れる、段階を踏み恐怖心を盛り上げる手法が生まれ……動物からのっぺら坊は分離し役割を得た……のっぺら坊の確立ね……狢が脅かし人間が逃げ、駆け込んだ屋台の蕎麦屋で……それはこんな顔かい?になるの」 「そこで来るのかぁ……出世したな八重ちゃん!!タヌキ卒業か!!」 「タヌキじゃないもん……」
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