彼ら

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ライトアップされてない庭園はマジで暗い、せめてロビーに灯りがあれば池の周辺は明るくなるだろうけど 徹底した節電というか、風呂とトイレとラウンジと各自の部屋だけしか電気使ってねぇ 暗い中を慣れない下駄で歩くだろう俺に気を使ったか、志乃ちゃんの歩くスピードも遅く、たまに振り向いてくれる 「ふぉぉ……滝だよ……」 中庭から旅館の裏に抜け道の様な道があり裏にある岩肌の山が目の前に 山の上部から流れ落ちる滝が旅館の横を流れ川となりこの温泉郷を分断している 木製の手摺に沿って歩くと緩い下り坂、やがて岩と石がゴロゴロ転がる河原に辿り着く 夜だって事もあるが川の近くは凄く涼しい、そして川の音は思うより大きい 「凄いマイナスイオンだ、逆にプラスになりそうだな」 「ならん、足下に気をつけろよジョージ、なんなら私の肩を掴んでも……」 ドボンと明らかに川に何かが落ちた音が後ろの方から聞こえた 恐らく岩か流木か、滝の上から何かが落ちたのだろうと志乃ちゃんが振り向き、俺も釣られて川上を眺め……下駄を脱ぎ捨て猛ダッシュ 「……ッ!!ジョージ!!」 「わかってる!!待ってろよ!!」 川上から流れて来たのは人 恐らく子供だろう、両手を上げもがきながら流れの速い川を流されて来た その上を飛んでる白く輝く瀬十君はもしかしたら何とか助けようとしているのか 「クソッ!!走りづれぇ!!」 「ジョージ!!待て!!」 意外に流れの速い川、二次遭難と言うか俺まで溺れるのを危惧したんだろう、だが俺は泳ぎは得意 溺れる子供を河原を走りながら追い越し飛び込み、川の中を走る 直ぐに川の真ん中まで着たが一気に深くなり、砂利の川底を蹴り子供を受け止めた
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