彼ら

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━━━━━━━━再び、星影亭 「うぉあっ!!ぐあぁ!!ちきしょおお!!もぅイヤァッ!!」 「だ、大丈夫かジョージ!!ぅあぁあ!!キャッ!!」 真っ暗になった旅館の中を俺は壁に手を付きながら何とか牛歩の歩みで進んでいる、ここまで辿り着く為に転倒4回、内2回は後頭部を打った そして後方では俺の足跡を消すかの様にモップをかけている志乃ちゃん、彼女も2回ほど形の良いお尻を廊下に打っている 原因はクソガエルのローションである これがとんでもなく厄介で拭いても水で洗い流そうとしても落ちないのだ、そんなローションあるか戯けが、と思ったが実際落ちないのだ なんでもお湯で洗い流せばすぐ落ちるとの情報を志乃ちゃんに聞き俺は本日2度目の風呂に入る為に廊下の壁に手を付き生まれたての小鹿の如く悪戦苦闘している 「ど、どうしたんですか?……大丈夫……ですか?」 「ダメだ八重!!ジョージはヘケトさんを触った!!危ないから近寄るな!!巻き込まれるぞ!!」 「ひぃっ!!」 「別に俺の業界じゃご褒美じゃないからな!!深く傷付いたぁ!!その目止めて八重ちゃん!!俺別に汚くないよ!!」 「ごっ、ごめんなさぃ!!」 奴の名前を聞いた途端に素早く距離を取り怯えた表情で俺を見下ろす八重ちゃん 謝りはしたがけして俺に触れようとはしないどころか俺が僅かに前進するとその倍は距離を取る始末、泣きたくなった さすがハートレスパンサーだ だが機転が利く八重ちゃんがバケツに風呂から汲んできたお湯を入れて持ってきてくれたので足だけ拭くと確かに綺麗サッパリとローションは簡単に落ちてくれた 「助かった……歩ける……足がしっかり廊下に着いてる感触のなんと心強いこと、ありがと八重ちゃん」 「ど、どういたしまして……あ、手は?手は拭きましたか?」 「ふぅ、八重が居てくれて助かったなジョージ……この辺りにも足湯があれば良いのだがな……」 「そか、手も拭いておかなきゃ被害が拡大するかもしれないからね、八重ちゃん頭良い~!!」 「え、そんな事……」 「あれ!!わ、私も頑張ってるんだけどな!!他の者が転ばない様に頑張って拭いてるんだけどなぁ!!あれぇ!!暗いから見えないのかなぁ!!」
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