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「だって私が女子用の制服を着ると変に見え………」
「優樹は女子でしょ?それに、かわいいんだから心配することないって」
何回も聞いたこの言葉。
私のどこ見て言ってるんだろ?
「とりあえず!遅刻するから返してもらうよ。」
強引に彼の手から制服をとり、シャワーを浴びるため浴室に向かった。
――――……
少しして浴室から出ると2階にある自分の部屋へ行き、真新しい制服に袖をとおす。
私がスカートが似合わなくなったのは中学2年の時。
昔から男に間違えられることは何度かあった。
成長期をむかえると周りより高めだった身長がさらに高くなった。
それに加え、ずっとやってきた空手の影響なのか、顔も一段と凛々しくなってしまった。
それから女に見られたことは片手で数える程しかない。
身支度が終わるとリュックにいる物を手早く詰め、急いで下に降りた。
リビングに入ると、父さんはまだ道場の方にいるらしく、母さん、昴兄に加え、一樹(イツキ)兄だけが食卓を囲んでいた。
私も母さんの隣に腰をおろす。
「ほら、早く食べてしまいなさいな。あ、そうそう今日の入学式には後から行くからね」
母さんが喋ると場が和む。
「てかほんとに男子用の制服着たのかよ」
視線だけこちらに向けて文句言ってきたのは一樹兄。
その瞬間、和やかな空気から一変、殺伐とした空気がながれる。
「べつにいいだろ。一樹兄に言われる筋合いはないよ。ご馳走さま」
用意された自分の朝食を口の中へ掻きこんだ後、流しに皿を持って行く。
「行ってきます」
そして素早くリュックを持ち、玄関にある時計をチラ見すると勢いよく家を出た。
~プチ家族side~
「全く一樹も素直じゃないんだから」
そう言ったのは昴。
「うるさい。俺もそろそろ出るから」
そう言いながら立ち上がる。
「ふふ、一樹ったら優樹がかわいくて仕方ないのね」
「母さんまで…。いってきます」
呆れたようにため息をはき一樹も学校へと向かった。
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