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登校している学生が少なくなってきた住宅街に彼女は立っていた。
ふわりと巻かれた明るい茶色のロングヘアーに透き通るような白い肌、ぱっちりとした目、ぷるんとした桃色の唇。
例えるならばお人形さんみたいな子だ。
彼女の手にはスマホがあり、何度も何かを確認している。
「もう、優樹ってば入学式から遅刻する気?」
確認していたのは時間のようだ。
そんなとき慌てた様子の足音が聞こえてきた。
そしてその音は段々近くなり―
「沙彩、悪い!朝練してたら遅くなった!」
両手を前で合わせた優樹の姿が目にはいった。
息は全くきれていない。
「遅い!あれほど朝練は程々にって言ったでしょ!毎度のことだからもう慣れっこだけど…
とりあえず走らなきゃ間に合わないから行こっ!」
「あ、あぁ…」
早口で話す沙彩についていけず、曖昧に返事をしつつ彼女の後について駆け出した。
5mで抜いた。
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