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終始視線を感じた長い入学式が終わり、体育館を出ようとするといつの間にか人に囲まれていた。
『名前何ていうのー?』
『モデルとかしてんの??』
『彼女いる?あ、もしかしてあの子が彼女とか!』
そして何故か女子から質問攻めにあう羽目になる。
沙彩は大丈夫か?
そう思いふと隣を見ると沙彩の姿はなく、慌てて体育館を見渡すと少し離れた所で似たような状態になっていた。
違うのは女子ではなく男子に囲まれているというところ。
「ここだと片付けの邪魔になるから教室で話さない?その方がゆっくり話せると思うし……な?」
とりあえずこの場から抜け出さないとと思い、困惑しつつもはにかみながら言う。
するとさっきまで囲んでいた人達が一斉に入口へ向かい歩きだした。
その中にはほんのり頬を紅く染めている人もいるようだ。
優樹さん恐るべし。
と思いきや男子も混じっていることに気づく。
「優樹、大丈夫だった?」
「ああ、なんとか…」
沙彩にとっては慣れっこのようで何もなかったかのようにこちらに歩いてきた。
「私たちもそろそろ出たほうがいいかもね。じゃあ、行こっか」
「そうだな。点呼するって言ってたし遅れるとまずいよな」
周りを見ると片付けが本格的に始まったみたいなので、2人も集団のあとに続いて体育館の外へ出た。
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