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声のした方を振り返るとそこにいたのは
「父さん…」
「ここにいたのか。…どうだった?楽しかったか?」
そう言って小さな笑みをうかべながら僕の頭をくしゃくしゃっと撫でた。
昴さんと違って大きくごつごつしてるけれどそれもまた優しい手。
「うん!今日ここに来れて本当に良かった。連れてきてくれてありがとう」
向日葵みたいなあの子の笑顔には負けるけれど、僕の中で今日一番のとびっきりの笑顔で言った。
すると、いつも無表情の父さんが目まで細めて嬉しそうに笑い
「また来ような」
と一言だけ言った。
「うん!……あ、あの、いきなり話が変わるんだけどいい?」
そう言うと、父さんはまたいつもの表情で首を傾げた。
「その、父さんにお願いがあるんだ!それはね……」
聞いた瞬間目を見開いて驚いていたけれど、理由を話すと分かったと言って納得してくれた。
今日僕は初めて一目惚れっていうのをしたみたい。
だって優樹ちゃんの笑顔を思い出すだけで頬っぺたが赤くなってる自分がショーケースに反射して見えるんだもん…。
それに強くなりたいなって思ったんだ。
お願いはその為のもの。
心も体も今度は僕が守れるくらい強くなって、もっと美味しいお菓子が作れるようになったら……。
そしたらまた、優樹ちゃんに会いたい。
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