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「で、どうしたの?その後」
「私はすぐ帰りました。
さすがにそれ以上居たら悪いかなあって思って、ねぇ」
「俺も帰ったよ、後からすぐ!」
「あら、そうなんだ」
「あの状況、あの時間、彼女の部屋とか、
そんな危険なことできるか!
一応、悠里が寝るまではそばに…
……なんだよ、その顔。
マスターまで…」
「いや…『彼女』って…」
悠里ちゃんの部屋に乗り込んだ(?)翌日。
マスターに報告がてら、晴海くんをからかって遊んでいた。
店内で皆で笑い合うことがまた自然と出来るようになっていて、失恋したことが、つい一昨日のことだと言うのに、もうなかったかのように思えてくる。
内心ホッとしていた。
矛盾している。
相手に無かったことにされて傷つくのに、同時にまた自分も無かったことにしたいと思うなんて。
でもやっぱり、この何気ない心安らぐ空間は、失いたくないと思う。
また、自分の思いに蓋をして見ないことにすればいい。
そうすれば、その傷も見なくて済むから。
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