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清々しく笑う晴海くん。
その顔を見て、ホッとした。
しかしそれと同時に、心の何処かで何かがひっかかるのを感じた。
……なんだろう、これは。
打ち消すように頭を軽く振る。
「じゃあ俺、これから大学行きます。
悠里、今日は来るって言ってましたよ」
「そう、じゃあまた後でね」
「……?」
にこやかに笑うマスターに、首を傾げる晴海くん。
「『彼女』を迎えに来るんだろう?後で」
耳まで真っ赤になったのは言うまでもない。
この時、すぐに意識の外に追いやった違和感のその正体は、
後日すぐに私の目の前に現れることになった。
私も、本当に忘れていたのだ。
それを取り巻く全てをまるごと。
この時が流れない店に居続けることで。
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