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そんな訳で、大きなダメージは受けないと思っていたのだが、1番堪えるのはこれ。
事情を知った、周りの人々の反応。
私は大丈夫、私はこれまで通り、と平常を保とうとすればするほど、同僚達の表情が曇った。
これでは、自分がどんな顔をして、どんな言葉を発すればいいのか分からなくなってしまう。
そもそも、私ってどういう笑い方してたんだっけ。
市原は、専務特命の仕事が中心になったようで、滅多に顔を合わせなくなった。
仕事も、目標と憧れとライバルを同時に失ってしまったような気がして、何を拠り所にしていいか分からなくなってしまった。
普通の自分が、完全に見えなくなる前に会社を辞めた。
ちょうど、梅雨入りが発表された日だった。
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