「始まりの鐘」

4/25
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ
それを聞いた汰本(たもと)がこう言った。 「佐東がなぜ悪い?俺の遊びの邪魔をしたのはお前じゃないかよ。なぁ、違うか、葉山~。」 言いながら葉山の足元をジロジロ見ていた。 「たし・・か・・・・に」 葉山が汰本に何かを言おうとしているが、小声で全く聞こえない。 「なんだよ、全然聞こえませんよ~。ハッハッハッハ(笑)」 葉山の小声に汰本はバカ笑いし、それが教室に響き渡る。 しかし、その笑い声より大きな声が突然響いた。 「たしかにっ・・・・確かに私があなたの邪魔をしたけれど、私は頼まれたの、佐東に。だから私は悪くない。私じゃなくて佐東をやつけましょう。」 その声の正体は葉山だった。 葉山は気が狂ったかのように激しく言い叫んだ。 でも俺らクラスのほぼ全員は、そんな葉山の無理な言い訳が汰本に通じるはずないと思っていた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!